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2006.2.20 「大いなる遺産 美の伝統展」 (東美アートフォーラム)

(2006.2.5~2.26)

はじめて聞いたときから楽しみに待っていた展覧会。
早々に新日曜美術館でも放映され、人出もなかなかと聞いていた。
展示替があるので観たいものをCheckして後期にきた。
平日・17時すぎ・雨、と条件を揃えて会場にむかう。
予想通り、さほどの混雑もなくすいていてじっくり観覧できた。
しかし、昼間や土日の混雑ぶりは想像するだにおそろしい。
あさいちか夕方をおすすめいたします。


さて、観た順に。
4階にあがると入口すぐにあったのは
小林 古径「山鳥」
羽毛の一枚一枚まで細やかな、それでいて重苦しくない筆。
人物がいまいちこのみでないのだけど、やはり古径はすばらしい。
新日曜美術館で宗教団体所蔵と言ってたのは霊友会だったのね。
これは二度と観ることはないかも。

そこからはだいたい画家の生年順に並んでいた・・・
しかし、むこうの陳列ケースの中に春草がある予感がしたとたん、
落ち着かなくなって、お手洗いに行くことにした。ところが、お手洗いは会場の中ほど。
急ぎ足で向かうあいだ左右からあれもこれも眼にはいってきて心臓が
どきどきのばくばくしてきました。用はなかったのだけど、お手洗いで気を落ち着けて
さて。
下村 観山「三保富士」もわりとすき。

そして、
菱田 春草「柿に猫」
永青文庫所蔵の「黒き猫」で枝にすわっていた
黒猫が降りてきたかのよう。ただ木の種類は違うけど。
しゃがみこむと猫の目と目線があう。そのままの姿勢で足がしびれるまですわりこむ。
今にもにゃー?と鳴きそうな。いたずらっぽい金色の瞳。キミに恋してしまったかも。
そのまま抱き上げて帰りたいーーー!!!

気をとりなおして次にまわることにする。
隣は大観「或る日の太平洋」だったが5秒でするー。
やっぱり大観はわたしの趣味ではない。うまいとは思うけど。

そして、さきほどわたしの胸を射抜いた作品、
埼玉県立近代美術館所蔵の
土田 麦僊「甜瓜図」
初めて逢ったのは館林だった。実は麦僊の書く人物もあまりこのみではないのだけど
この作品は別格。
ちょうが描かれていても全く問題がないのはこの作品だけ。
この、瓜の、翠色の美しさは他のなにものにもかえがたい。

そして隣に松園さん
上村 松園「櫛」
彼女の作品はいつ観てもこころがあらわれる。
間違いなく一番すきな美人画家だ。

次に今回のおめあて2番
速水 御舟「美男桂に瑠璃鳥」”びなんかずら”と書かれている気がするんだけど
桂?蔓?
それはさておき、植物の赤と緑にるり鳥の青がとても効いている。
御舟にしては”色鮮やか”と言う印象が強かった。

隣に、橋本 関雪「玄猿」
猿の絵はそんなにこのみじゃないけど、思わずさわりたくなるような
毛並み・造形・構成など、みとれてしまった。京都画壇の動物画家はやはりいいな~

伊東 深水の美人画「通り雨」はきれいだけどなんだか・・・
”男”が描いた色っぽさまんさいできれいだけど、深水の絵がだいすき!に
ならなかった理由がわかった気がする。やはり”男のロマン”なんだわ・・・。

そして、映丘、紫紅をふっとばして
川越市立美術館所蔵小茂田青樹「麗日」
小春日和の梅の樹の下に寝そべっている白猫。いじりたくなるくらいかわいい!
きもちよさそーに寝てる姿にむらむら(?)する。
やっばり青樹いいなあ。こみゅ作ってよかった!
やはりしゃがみこんで、気持ちよさそうな猫をみつめる。

ようよう気がすんで
鏑木 清方「いでゆの春雨」
英語の題名は”Hot spring”と”spring”をかけているのかと思った。
そして、その瞳を観てわたしは清方がとてもすきなことを実感した。
この清楚な女性像。松薗に通じるものもあるかも。
だから、あの、「妖魚」の妖しさに、ただ1点だけ描かれた異色の作品にこころ奪われている。

そして、ひさぴさの再会、京都国立近代美術館所蔵徳岡 神泉「蕪」
京国での回顧展以来かな。次にこみゅ作るとしたら神泉かな~。

久々の里帰りと言われていた東山 魁夷「青い谷」
パリ日本大使館公邸だとやはり二度と観られないかも。
それにしても、やはり魁夷は美しい。最近はすきな画家に名前を挙げることはなくなったが、
わたしが初めて1人で日本画の個展に行ったのは魁夷展だもの。
三つ子の魂、とまでは言わないけど、やはり美しいものは美しいのよ。
笑わば笑え。

杉山 寧の「雍」、鳥の瞳に射ぬかれた。みとれた。恋に落ちた。
まだこみゅなんて、神泉より先に作らなきゃ!

そして
川端 龍子「四季好果之図」は年初の龍子展の感動を新たにしてくれたし、
奥村 土牛「八瀬の牛」は牛の表情がなんともいえなかった。
最後に
横山 操「清雪冨士」彼は作風がかなり変わっているので
このみに合う合わないも激しいけれどこれはすきな絵。とてもとてもすきだ。
木々を描く繊細な筆。雪を描く岩絵具のマチエール。少し照明が暗すぎて紺青の空が
暗くなってしまってはいるが、その分、雪の冨士がくっきとうかびあがっている。
岩絵具の粒がきらきらする空もすてがたいがこれはこれで美しい。

興奮のうちに日本画終了。


さて洋画は羅列しよう。すでに観た順はあやふやに・・・
古賀 春江「白い貝殻」
岡 鹿之助「林」
国吉 康雄「待つ」

美人画3点セット(笑
藤島 武二「官女と宝船」
岡田三郎助「あやめの衣」
黒田 清輝「赤き衣を着たる女」

浅井 忠「グレーの秋」
藤田 嗣治「私の夢」
青木 繁「海」
須田国太郎「樹上の鷲」
坂本繁二郎「月光」

このみではないけれど驚いたのは
中川 一政の100号「駒ケ岳」
彼はこの作品を93歳で描いたのだ!!!
どんな人でも年とともに衰えていくというのに
この大きさの画面を描けるなんて・・・。

牛島 憲之「樹」
小磯 良平「合奏」

など。


そして近代工芸
松田 権六「竹林雀蒔絵撥鏤箱」うっとり。すずめすきーには見逃せない!
富本 憲吉「白磁蓋付壺」
板谷 波山「葆光彩磁延年文花瓶」
楠部 弥弌「彩埏花瓶 夏日」これが観たくて後期にきたわけですが。
鈴木 治「雪の中の馬」
佐藤 玄々「麝香猫」
高村 光太郎「うそ鳥」
香取 秀真「鳳凰香炉」
佐々木 象堂「鋳銅色絵鸚哥置物」

4階をもうしゃがみこみつつ一周して時間に追われて3階へ。
閉館まであと40分だ。
入ってすぐの
「色絵鳳凰文大皿 古九谷」に目を奪われる。
古九谷は色遣いがあまりこのみでないので興味はさほどないのだが、
これは違った。鳳凰の姿にひきつけられた。

青磁筍形水注(高麗) 細工の細かさに驚嘆
青磁象嵌蓮唐草文鶴首瓶(高麗)
白磁刻花宝相華唐草文鳳首瓶(北宋)鳳首にくらくら
青磁刻花牡丹唐草文瓶 耀州窯(北宋)唐草模様が夢のよう
黒釉油滴斑文盃(金) ゆっぱりわたしは油滴てきてきがすごくすき


次のコーナーは屏風
鈴木 其一「四季草花図屏風」の企画とデザインに驚かされる。
やっぱりいいなぁ・・・こみゅ作(以下略)


そして最後に国宝室
「林檎花図 伝 趙昌筆」(南宋) 畠山記念館
「鶉図 伝 李安忠筆」(南宋)根津美術館
「青磁下蕪花生」 (南宋) アルカンシェール美術財団
もう何もかけません。
by kinmokusei_verdi | 2006-02-21 15:52 | 展覧会
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